67歳で起業、「おもちかすてら」に商機見いだす グルテンフリーのもち粉スイーツ 妻亡き今、生きる糧に
名古屋のスタートアップがもちの原料「もち米」でカステラをつくる技術を開発し、海外に打って出ようとしています。この会社の社長、実は銀行を定年退職したあと67歳で起業しました。
東京都内で行われたビジネスコンテスト。全国から選りすぐりのスタートアップが集まる中、ひときわ異彩を放っていたのが、現在74歳の礒喜久さんです。67歳でもちに目覚めて起業しました。2024年、後期高齢者の仲間入り。
小麦アレルギーの人でも楽しめる「おもちかすてら」
7年前に起業して世に送り出した商品があります。それが「おもちかすてら」です。見た目は普通のカステラですが、原料に小麦粉を使っていません。使っているのは米粉ともち粉。小麦アレルギーの人でも食べられるカステラなんです。
礒喜久さん:
「文明の進んだ国はアレルギー症が進んで困っているようです。誰も成し得なかったことに挑戦。おもち革命を夢見て、現在進めています」
三重県伊勢市に生まれた礒喜久さん。大学を卒業して銀行に就職。65歳で現役を引退しました。
礒さん:
「65歳で引退しまして、伊勢でもちに親しんで育ったというのもあって、全国のもち巡りをしてみようと、地域地域の有名な所を食べ歩きました。そんな中、私の一番身近な妻が病気で亡くなりました。誰かが一緒にいれば、のんびりと過ごすこともできるんでしょうけど、1人だとあんまりそういう気持ちにはなれなかったですね。
何か仕事があれば、毎日目標を持って過ごすことができます。会社(設立)を思い立ったわけです」
第二の人生で一から始める新たなビジネスとして目をつけたのが「もち」でした。もちに商機を見出したのには理由があります。
礒さん:
「国連のデータとかを見て、文明が進んだ国ほどアレルギー症の方が増加しています」
欧米を中心に小麦アレルギーが深刻な問題になっていることを受け、グルテンが含まれていないもち粉でスイーツを作れば、海外で売れるのではないかと考えたのです。
選んだのは、カステラ。ところがそれが、磯さんの苦難が始まりました。
礒さん:
「職人さんに(やり方を)何回も聞くんですが、『できないのは当たり前』『もちというのは一回膨らんだら後は固まる』『お前アホじゃないか?』それぐらい言われました。ずっとカステラを作っていても、膨らみませんでした」
もち米は熱を加えると一旦膨らみ、あとは固まるばかりなので、どうしてもふわふわのカステラに仕上がりません。