【解説】運転士の過酷な労働が浮き彫りに 鉄道各社が進める「自動運転化」その背景にあるものとは

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近年、車だけではなく鉄道の自動運転化が進んでいます。

これまで精力的に鉄道の自動運転の開発を進めてきたJR東日本やJR九州に加え、2023年度以降に東武鉄道、23年度に南海電気鉄道が一部路線で本格的なテスト走行に着手するなど、大手の私鉄各社も自動運転化に乗り出してきました。

その理由の1つは運転士の人材不足です。そこで、鉄道ジャーナリストの梅原淳さんに話を聞きました。

●自動運転に取り組んでいる主な鉄道会社
・JR東海
・JR東日本
・JR九州
・東武鉄道(2023年度以降)
・南海電気鉄道(2023年度)

体力的に厳しい業務

運転士の人材不足

―――自動運転化を進める要因が運転士の人材不足とのことですが、原因として挙げられるものは何ですか。

要因の1つとしては、少子高齢化による運転士のなり手不足が挙げられます。また、業務の過酷さも要因になるかと思います。運転操作は4時間から5時間ほどを限度にしていますが、それでも自動車の運転免許に比べると非常に大変です。視力は600メートル先の信号が見えなければいけないなど、年齢を重ねるごとに少しずつ体力的に厳しくなります。

さらに、不規則な勤務やトイレに行けないなどで内臓を悪くされる方も多く、健康面で考えても難しい仕事です。そういった過酷な業務を自動運転によって負担を減らし、早朝や深夜の運転業務だけでもなんとか軽減できたらと鉄道会社が考えていると思います。

過酷な運転業務

―――1日に運転できる時間に限度があるので、そのために大勢の運転士が必要となるのですね。

東海道新幹線の「のぞみ」で、東京―新大阪間を運転すると、1往復かもしくは1往復半の途中ぐらいまでが業務の限度になると思います。東海道新幹線の列車そのものは1日に300本~400本など走っているので、それだけたくさんの運転士が必要になるんです。しかも交代制で休日も不規則になってしまうので、非常に体力的に大変かと思います。

―――1人の運転士が定年を迎えるまで運転業務を続けるのが難しいのであれば、ますます運転士の数も必要になってきますよね。

運転士の数が必要になる反面、若い方のなり手も少なくなっているのが大きな問題です。このまま列車の本数を維持するために自動運転化を検討している状況かと思います。

―――交通インフラを守るためには、自動運転化は必要なのですね。

もちろん課題はたくさんあります。ホームドアの整備や踏切のある路線では前方に障害物があった場合はどうするかなど、なかなか難しい課題が多いかと思います。

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