甘い「ミニトマト」 脱サラをして作り始めたミニトマトには「子どもへの熱い思い」が 愛知

地域 コラム・特集 話題 友だち追加

甘さにこだわって栽培をしているトマト農家が名古屋市内にありました。脱サラをしてでもトマト作りに取り組んだ理由とは。

甘すぎると話題のミニトマト

宝石のように赤く光り輝くミニトマト。口コミで「甘すぎるミニトマト」と話題を集めています。このミニトマトを作っているのは名古屋市中川区にある飯田農園です。社長の飯田実(いいだまこと)さんが、約13年前から栽培を始めました。

「ちょっと割れちゃうんですよね。でもこういうのがめちゃめちゃうまいんです」 (飯田さん)

飯田さんは学校を卒業後、調味料メーカーに就職。結婚もして順風満帆の生活を送っていましたが…。

「生まれた長男が先天性の病気を持ってしまって、それが僕にとってはすごいショックでした」 (飯田さん)

長男の実生(みお)くんが抱えていたのは先天性食道閉鎖症。食道が胃とつながっていない症状の珍しい病気です。飯田さんは絶望の淵に立たされます。

「生まれてきた子のために何かできることと思うと、僕が作った安心安全なものを食べさせてあげたいという思いから会社を辞めて、トマトづくりを始めちゃいました」 (飯田さん)

周囲の反対も押し切り、飯田さんはそれまで勤めていた会社を辞めトマト農家へ転身を決意しましたが…。

「販売先にすごく苦労しました。売り先が全部買い取るという話でスタートしたんですけど、実際はそんなことなくどんどんトマトが赤くなってはポトポト下に落ちていく」 (飯田さん)

飯田さんは直売やトマトの自動販売機を導入。すると口コミで徐々においしいと評判が広がり、県外からも買いに来る人が出るほどの人気商品に。さらに2018年からは海外への販売促進にも力を入れるなど、今では年間17トンのトマトを販売するほどに成長しました。

カツオと昆布のうま味が甘さの秘密

「甘い。ここのばっかり買ってるからスーパーでは買わない」 (購入客)

飯田さんのトマトの特徴はずばり「甘さ」です。その甘さの秘密は何なのでしょうか?

「カツオと昆布をおかゆにしたようなものを米ぬかに混ぜて肥料として使ってます」 (飯田さん)

カツオと昆布のうま味がトマトの甘味をギュッと上げてくれるそうです。一般的なトマトの糖度が4~6度であるのに対して、この変わった農法を使った飯田さんのトマトはなんと平均で10度。倍以上の甘味を感じられます。

長男のために始めたトマト農家。その長男も現在は高校三年生になりました。病気も完治し、休みの日は元気に収穫の手伝いをしています。

「物心ついた時には周りはトマトだらけでした。僕の病気でトマト農家を始めてくれたことに感謝しています。自分は医療系に進もうと思ってるんですけど、親のトマトのお陰で人に安心をさせたりとか、自分の人生に大きく影響を与えてくれたと思っています」 (長男・実生さん)

「もっと早く始めておけば良かったと思いますが、最初のきっかけが今の僕の経営理念である『安心安全なものを食べさせたい』という思いが芯にあるので、それがあったから今がある。あわよくばこれを子供3人のうち誰か受け継いでくれたらなと思います」 (飯田さん)

安心安全なミニトマトを作り続ける。飯田さんの挑戦はこれからも続きます。

関連ニュース

おすすめの記事

おすすめの記事

アクセスランキング

アクセスランキング

ページトップへページトップへ