「渥美半島の太平洋側では10メートル超えるような津波」南海トラフ地震での専門家が考える津波への備えは
11月5日は「津波防災の日」。今から170年前の1854年11月5日、安政南海地震による津波が太平洋岸を襲い、大きな被害が出たことに由来しています。
近い将来に発生すると言われている南海トラフ地震は、東日本大震災と同じマグニチュード9クラスの規模が想定されており、最大震度は7。30年以内の発生確率は70パーセントから80パーセントと予測されています。地震によって起こる津波の高さは10メートル以上が想定されています。
内閣府の想定で最も多い場合、津波による死者・行方不明者は全国で23万人、愛知県でも津波によって2400棟の家屋が全壊、3900人が犠牲になると考えられています。
どのようにして地震の際、津波から自分の身を守ればよいのでしょうか。
名古屋大学減災連携研究センターの富田孝史教授に話を聞きました。
名古屋大学減災連携研究センター 富田孝史教授:
「愛知県全体では3万5000ヘクタールを超えるような地域が浸水してしまうのではないかと想定がされている。あと名古屋市では、いろんな区においてそれぞれ浸水面積が想定されていて、港区がその中でも1番広いのですが、港区だと3000ヘクタールを超えるような広い範囲が浸水してしまうのではないかというようなことが想定されている」
具体的な津波の高さや速さについては…
富田教授:
「知多半島の南部のあたりになると、6メートルを超えるような津波になってくる。一方、伊勢湾の奥部、あるいは三河湾の奥部だと、3メートルぐらいまでにはなるというような想定がされている。さらに伊勢湾の入り口よりも外側にある渥美半島の太平洋側、そういったところで10メートルを超えるような津波が襲ってくるというようなことが推定されている。
南海トラフ巨大地震が発生してから30分ぐらいで伊勢湾の入り口にまで達する。さらにもっと早いところ、例えば渥美半島の太平洋側だと本当に目の前で津波が発生するわけなので、本当に10分というような早さで津波が到達してくる。秒速2メートルを超えるような速いスピードで(波が)流れてくる。立っていられない速さ」
さらに津波が起きると、こんな危険もあるといいます。
富田教授:
「いろんな漂流物を巻き込んで流れてくる。だから、そういった漂流物にぶつかってしまう危険性もあるし、海岸や河川の近くでは液状化も起こってしまう」