年間約3000トンのごみが流れつく海岸 拾ってもすぐ流れつく現実 解決の鍵は周辺県が連携した発生抑制
―――漂着ごみの与える影響はどんなものがありますか
「伊勢湾に発生するごみのうち、半分ぐらいはこの鳥羽周辺に漂着するんじゃないかと言われています。例えば大きな流木が流れて港に入ったりすると、港の機能が阻害されて船が港に着けなくなります。
また、流木が海を流れているということは船が走るときに危険で船の航行の障害になるんです。他にもごみが漂着したりすると見栄えがすごく悪くなりますよね。観光資源的な意味でもよくないです」
「伊勢湾のごみ問題は他県の協力がないと改善しない」 漂流ごみ対策で期待される「伊勢湾広域連携」
伊勢湾の漂流ごみの対策として期待されているのは「伊勢湾広域連携」。伊勢湾の海洋ごみは、主に愛知県、岐阜県、三重県の流域圏から発生したものであることから、3県で連携を図りながら海洋ごみの発生抑制対策等について検討・実施するというもの。「伊勢湾のごみ問題は他県の協力がないと改善しない」と千葉教授は話します。
―――「伊勢湾広域連携」とはどのような仕組みですか?
「伊勢湾のごみ問題を考える時に愛知県、三重県、岐阜県そして長野県の4県からごみが出ているわけです。ただ、海岸を持っていたり、被害が実際発生しているのは、三重県だったり愛知県だったりするわけです。そうすると三重県と愛知県だけがごみ問題をなんとかしたいと思っていても、内陸地域の協力が得られなかったらごみ問題というのは改善していかないです」
―――2024年3月に連携に大きな動きがあったそうですね
「沿岸の総合的管理と言うんですけど、県を越えて一緒に協力するのは難しい部分があって、日本ではなかなかできていなかったんです。ただ、3、4年前に環境省から、複数の自治体で協力する体制を作った方がよいというすすめもあり、今年3月に伊勢湾広域連携の計画を作るところまで進みました。これは全国初の取り組みです」