海の上の巨大風力発電、建設現場に密着! 日本最大級の風車が北海道に誕生 カーボンニュートラル実現へ
日本最大級の洋上風力発電施設が、12月に北海道で完成予定です。海の上の巨大風車はどのように建設するのでしょうか。その建設に欠かせないのが、全長140メートルを超える巨大船舶“SEP船”です。
北海道小樽市と石狩市にまたがる石狩湾新港。ソーラー発電所、火力発電所などがあるエネルギー産業の拠点です。港の中に、洋上風力発電がずらりと並びます。
ブレードの長さは80メートル、最高到達点は190メートル。地上50階建てのタワーマンションより高い、日本最大級の風車です。
1基あたり8000キロワット、14基で112メガワット。8万3000世帯分の電力を発電します。風力発電大手の「グリーンパワーインベストメント」が手掛けました。
グリーンパワーインベストメント副社長 幸村 展人さん:
「2050年カーボンニュートラルに一番期待されているのが洋上風力発電です。日本における洋上風力のマーケットを切り開いてきました」
洋上風力発電はどのようにして建てる?
洋上風力発電には海底から基礎を建てる「着床式」と、海の上に浮かべる「浮体式」があります。石狩湾新港の風車は「着床式」。まず、水深10メートルの海底に基礎部分を建てていきます。発電機が格納されているナセルとタワーとブレード3枚で風車1基分。これを2セット、船に積み込み自力で航行して基礎部分に横付けします。
その後、4本の脚を伸ばして船をジャッキアップ。水深50メートルの海底でもジャッキアップできます。
造船費用は500億円!
自動昇降式作業船(SELFーELEVATING PLATFORM)、英語の頭文字をとってSEP船といいます。船体を海面から離すことで、波の影響を受けずに風車の組み立て作業ができるのです。
SEP船は清水建設が建造しました。全長142メートル、幅50メートルです。造船費用は500億円。風車の資材を難なく吊り上げられる大型クレーンを搭載しています。港を出て風車が完成するまで、泊まり込みで作業を行います。工期は通常の半分に。このSEP船が事業費削減のカギを握っているのです。