「新幹線プロレス」JR東海が新たな収益の柱を作るべく「型破り企画」 中村副社長の単独インタビュー
コロナ禍で打撃を受けたJR東海が今、新たな収益の柱を作ろうと、型破りな企画を次々と繰り出しています。JR東海の取り組みを取材しました。
ビールのお供は名古屋メシの代表格の手羽先。居酒屋チェーン「世界の山ちゃん」です。場所はなんと、JR名古屋駅の在来線・1番線の線路の上です。この線路、現在リニア中央新幹線の工事で使われておらず、子会社社員の提案で居酒屋として開放されました。
オープン2カ月で約1万人を集客
鉄道会社の振り切った企画は話題となり、オープン2カ月で約1万人を集客しました。
利用客:
「入場券を買ってここに来ました。こういうのもたまには良いかな」
「JR東海は堅いイメージ。こうした取り組みをもっと続けてほしいです」
この店は10月までの期間限定でしたが、すでに第2段として大阪発祥の人気ラーメン店の出店が決まっています。これまでのJR東海にとっては常識破りの発想でした。
JR東海副社長 中村明彦さん:
「線路の上は神聖な場所でした。そこで『山ちゃん』の手羽先を食べてビールを飲む。これまでの鉄道マンには考えられませんでした。壁をぶち破った考えで、これもやってしまおうと」
JR東海は民営化以降初の赤字に転落
1964年に開業した東海道新幹線。長年、JR東海の経営を支えてきました。コロナ禍前のJR東海の売上高を見ると、新幹線事業が占める割合は約70%。東日本や西日本と比べると突出しています。しかしコロナ禍で新幹線の利用者は大幅に減少。2021年3月期の決算で、JR東海は民営化以降、初の赤字に転落しました。
日本経済新聞社 名古屋支社 井澤真志記者:
「『一本足打法』だったJR東海の経営手法は大転換を迫られています。JR東海では今新しい発想の収益源を模索する方向に舵を切っていて、鉄道会社のお堅いイメージを覆す振り切った企画を次々と繰り出しています」
新幹線の車内でプロレス
改革は新幹線の車内でもありました。
狭い通路で大乱闘が! プロレス団体「DDTプロレス」の試合です。東京―名古屋を結ぶ「のぞみ号」の車内で行われています。
プロレスラー:
「新幹線は時速285キロ。ロケットパンチを足したら時速500キロだ!」
JR東海がプロレス団体に、のぞみの1車両を丸ごと貸し出すこの企画。約2万円の観戦チケットは75枚が30分で完売しました。通路で試合をするため、選手を至近距離で見ることができます。
観客:
「選手が近くまで来るときもあってすごく楽しかった。また新幹線プロレスを見たい」
JR東海は2022年12月から「新幹線貸切車両パッケージ」のサービスを開始しました。10月末現在、57件の利用がありました。
中村副社長:
「新しい発想で収益を拡大していく。あのお堅いJR東海が変わったと言ってもらえるように頑張りたい」