太平洋戦争、日本軍の敗因から学ぶ 情報共有の重要性 「御園座」会長の人生を変えた一冊・失敗の本質
名古屋市中区にある劇場「御園座」。明治時代から名古屋の芸能文化を支えてきた発信地です。代表取締役会長の小笠原剛さんは、御園座を次の世代につなぐため「お客さまが望むものは何か。現場は何を考えているのか」に、耳を傾けたといいます。考え方のヒントを得たのが、組織論の名著「失敗の本質」でした。
「失敗の本質」は太平洋戦争での敗北を、日本軍の組織としての失敗と捉え、日本を代表する組織論研究者たちが執筆。現代のあらゆる組織への教訓が詰まった一冊です。
小笠原剛さん:
「今まで読んできた中で、一番印象に残っている本です。1941年に起きた太平洋戦争(大東亜戦争)での被害を受けて『なぜこのような結果になったのか』、失敗を細かく分析しています。今もそばに置いて、何度も読み返しますね。何度読んでも、意味がある気がして」
初めて「失敗の本質」を読んだときの衝撃
銀行員として働いていた、2002年・2003年ごろのことです。ある部署の統括をしていました。そのとき、2つの銀行を一緒に統括することになったんです。ある人が、「失敗の本質」を読んだらどうか、とすすめてくれました。読んだときに、組織はこうあるべき、過去の成功体験を引きずるとこうなる、自己革新能力が必要、など非常に勉強になったんですよね。
「情報共有」の重要性
――特に印象に残った場面は何ですか。
組織の中で現場・本部の間で情報共有がされていなかったり、本部は縦割りで横の連携がなかったり。軍隊の世界にもあったのだと気づかされました。現代の我々が経営していく上で大きな問題は、情報共有がされない状態です。極限状態の戦地で情報共有が欠如してしまい、結果的に大きな敗因になったのだと知りました。