ビール缶ってどう作るの? 年間12億本を製造するビール缶工場はこだわりの加工技術が満載

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膨大な生産量を誇るビールゆえに缶も大量生産

グラスに注げば、おうちで居酒屋気分―。缶ビールは日本の家庭にすっかり定着しています。しかし、その製造方法はご存知でしょうか。ビール缶の工場を覗いてみると、原料のアルミの特性を最大限に利用する、こだわりの技術にあふれていました。

【動画】巨大ビール工場に潜入 キンキンで残暑を乗り切れ

アルミ板がまずカップ状に

トイレットペーパー状のアルミ板

滋賀県彦根市にあるアルミ缶製造会社、アルテミラの工場では、日本を代表するビール「アサヒスーパードライ」の缶を作っています。年間の製造量は、およそ12億本に達するそうです。

ビール缶の材料となるのは、銀色に輝くアルミ板。アルミ板は加工する前、巨大なトイレットペーパーのように見えます。専用の機械にセットされると、ゆっくりと回り始めました。

加工後、カップ状に変身したアルミ板

アルミ板は次に、黄色のマシンに吸い込まれていきます。吸い込まれた後に出口に現れたのは、カップ状になったアルミ板です。

上下に動く金型でアルミ板を丸く打ち抜くと同時に、丸く切断されたアルミ板を下部にセットされた金型に押し込むことで、カップのような形に加工していたのですね。

ボディーメーカーの工程で引き伸ばす

ボディーメーカーの工程

ここで気になるのは、加工されたカップが、ビール缶としては長さが全く足りていない点。そのため、次の「ボディーメーカー」と呼ばれる工程で、アルミのカップに棒状の金型を押し込んでグイーンと引き伸ばし、ビール缶の形に仕上げます。

ボディーメーカーの工程を終える前と後

最後に、棒状の金型がカップの底の部分にくぼみを付ける金型まで行き進めばビール缶の完成です。見事にカップ状のアルミ板はビール缶に変身を遂げました。

小さなアルミのカップを引き伸ばす加工を行うことで、継ぎ目がなく密閉性の高いビール缶に仕上がります。

インクを流し込んで缶にラベルを付ける

インクを「版」に流し込み、缶に貼り付ける

さらに工程が進むと、ビール缶に「スーパードライ」のラベルを付着させていきます。ラベル用の装置は、備え付けられたチューブがまるで生き物のようにウニウニと動いています。チューブの中をインクが流れているためです。マシンの内側には、スーパードライのロゴが描かれた、ラベルの「版」が回っており、インクを流し込んでビール缶に付着させます。

飲み口を安全なように加工

飲み口を安全なように加工する

ビール缶の飲み口は、このままでは鋭くて危険なので、人が口を付けて飲んでも安全なように加工します。缶を金型に入れて飲み口を絞っていきます。飲み口を絞ったら、回転するローラーに押し当ててトップ部分を外側にクルンと折り曲げる加工を施し、製品の形にします。

出荷前の、口を開けた状態のビール缶

この工場から出荷される前のビール缶は、まるでビールを待ち望んでいるかのように大きく口を開けています。出荷された後のビール缶は、名古屋市守山区のアサヒビール名古屋工場に納品され、製品の中身であるビールを注がれてフタをされ、完成に至ります。

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