名古屋城バリアフリー化差別発言「史実に忠実なものを求めるか、観光目的とするかで食い違い」専門家が指摘

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名古屋城天守の木造復元計画のバリアフリーに関する市民討論会。エレベーターの設置を求める障害者に対し、一部の参加者が差別的な発言を行い、発言を制止しなかった市の対応が問題視されています。

名古屋城バリアフリー検討会議のメンバーで、中部大学教授の磯部友彦さんにその原因と課題について話を聞きます。

名古屋城 復元イメージ「二層西側 広間」

――市民討論会で差別発言が出たことに対して、検討会議のメンバーの磯部さんはどのように感じていますか。

非常に残念です。市民の理解力が乏しいのではないかと思っています。社会全体としてどのような町、どのような社会をつくっていくのかという話が、よく分かっていないのではないかと感じました。

――「どのような町を」とは、障害者と健常者の方が共存する社会をつくっていくという意識のことでしょうか。

私は社会全体が幸せになってほしいと思っています。その中に、困っている人がいたら、その人に着目して助けていくべきだと思います。そうした結果、社会全体が良くなるという発想を持っているので、決して障害者の方を特別扱いしているわけではありません。

――市はこの問題の解決を最優先するとのことですが、検討会議ではこの問題を受けて、考えが変わったことはありましたか。

バリアフリー検討会議は、技術的な関係者が集まってそれぞれの史実に忠実なものをつくるという話と、「バリアフリーが必要だ」という話の両方が並んでいます。意見が食い違ったまま話が進んでいると感じています。市民討論会で最後に問題のある発言があったので、今後どうなるか分かりません。しかし、意見に食い違いがある以上、話をまとめていく必要はあると思っています。

意見の食い違いを明らかにして、調整していくことが大事

磯部 友彦さん

――最終的な取りまとめは市が担当することになると思いますが、メンバーの1人として市に要望や、意見はありますか。

さまざまな人の意見を集めて、議論することだと思います。1人ひとりの意見を聞くだけでは議論になりません。大勢で議論を行い、その中で調整していく必要があると思います。

――これまでも議論は行われてきたと思いますが、まだ議論が深まっていないのでしょうか。

一方的にクレームをつけていると社会は捉えていますが、本当は議論を行いたいのだと思います。

――議論の場には、どのような人が参加するのが望ましいでしょうか。

名古屋城を楽しみたい人や、史実に忠実で文化的な価値を高めたいと考える人も大事だと思います。皆さんが多くの意見を聞き、その意見がどのように食い違っているのかを明らかにして、調整をしてほしいと思います。

――今後、そのような議論が行われる予定などの連絡はありますか。

今のところありませんので、私たちが頑張らなければと思っています。

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