戦後81年 老朽化で解体方針の「戦没者慰霊平和塔」 平和のシンボル保存か撤去か 問われる継承のあり方
8月15日の終戦の日を前に、愛知県に残る戦争の記憶をお伝えします。今回取り上げるのは、愛知県蒲郡市で半世紀近く平和のシンボルとして親しまれてきた「戦没者慰霊平和塔」です。いま、この塔の存続を巡り議論が交わされています。揺れる平和のシンボルを取材しました。
1977年、遺族や市民から寄せられた寄付などを元に、およそ9,000万円をかけて世界的な建築家、黒川紀章さんが手掛けました。毎年ここで平和記念式典が開かれ、平和への祈りが重ねられてきました。
実はこの塔、今ある問題を抱えています。建設から半世紀が経ち、塔の内部では老朽化が進行。
階段の一部が崩れているほか、周囲にはバリケードが組まれ、砕けた大理石が散乱しています。
市によりますと、2024年の5月、壁の部分にあたる大理石が崩落。重さは30kgほどあり、安全確保のため、周囲にバリケードが設置されました。さらに劣化は塔の内部にも及んでいます。
塔が解体されると聞き、京都から参拝に訪れた男性もいます。
京都から訪れた70代男性:
「解体される前にぜひ参拝にということで、心が痛みますね。国の為に、あるいは家族の為に戦って亡くなられた方を祀っておられるのですから。望む望まざるにかかわらず、命を落とされた方を供養するというのは、当然のことであり、大切なことだと思います」
終戦から2026年で81年。戦争体験の記憶が徐々に薄れゆく中で、平和のシンボルまで失われてしまうのでしょうか。
「精神的な支柱が風化しかねない」 市議から上がる異論
蒲郡市 大須賀林市議会議員:
「戦没者慰霊平和塔を取り壊し、なくしてしまうということは、戦没者の遺族、市民の精神的な支柱が風化していきかねません」
蒲郡市の大須賀林市議です。塔の解体を推進する市の方針に異を唱えています。
蒲郡市 大須賀市議会議員:
「戦没者を慰霊する、そして平和をこれからずっと維持していくんだよという平和のシンボル、この大きなものが消えてしまうことが非常に惜しいと感じています。壊した方がいいという人もいますし、残した方がいいという人もいると思います。意見を聞いてから判断しても遅くはないのではないでしょうか」
市民などからの反対の声を受け、市は現在、具体的な解体計画を見合わせています。
解体計画は一時見合わせ 議論の行方に注目
残すのか、それとも解体するのか。結論を出す前に議論を尽くすべきだと、大須賀市議は訴えます。
蒲郡市 大須賀市議会議員:
「みんなの知恵を絞ればこの形は残せるんじゃないかなと思いますので、安全に配慮して残せるものなら残していただきたい。その思いは今でも変わりません」
戦争の記憶をどう次の世代へ紡いでいくのか。世界では実際に戦争が起きている今、平和のシンボルを巡る議論はこれからの平和をどう守っていくのか、私たち一人一人に問いかけています。























